『暁の暴君(タイラント)』を読んだ感想と作品に感じた魅力

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皆さんは『暁の暴君(タイラント)』という漫画作品をご存じでしょうか。

柔道を題材にした作品ではありますが、よくあるような「主人公がライバル達と闘いを繰り返して強くなっていく」という青春モノではありません。

逆に、いわゆる汚い大人のやり取りや保身、柔道の実力とは関係ないところでの戦いなど、現実のスポーツにありがちな闇を描いていることも多く、ちょっと異質な雰囲気を持っています。

僕は柔道を少しばかりやっていた経験もあるため、気になって読んでみました。

本記事では、

・作品のあらすじ
・読んだ感想
・感じた魅力

をお話していきます。

作品のあらすじ

物語は、主人公である朱点一真(あかつきかずま)の宣言から始まります。

朱点一真
朱点一真

僕の目的はただ1つ、柔道を潰すことです。

中学三年生で突如大会に出場し、全国制覇を果たした直後のインタビューで発したこの言葉によって、彼は全柔道家を敵に回しました。

加えて、彼は以下のように指摘。

・今の柔道界は腐りきっている
・柔道界の総本山である講英館の理念など下らない

そして「自分を否定したければ三年以内に倒してください。できなければあなた方の負けです。」と講英館に宣戦布告します。

これに対し柔道界の実質的なトップである講英館の館長・大嶽明徳(おおたけあきのり)は、

・朱点一真の宣戦布告に応じる
・三年以内に一度でも敗ければ全国民の前でひれ伏し謝罪してもらう

と極悪な笑みを浮かべながらマスコミに発表。

かくして、前代未聞の争いが幕を開ける

********

以上が、作品の大まかな流れです。

読んでみての全体的な感想

この作品は当然ながら主人公と彼に挑むキャラクターに関する話がメインではありますが、それ以外にも様々なテーマがあります。

たびたび描かれるのは、『選ばれた人間と選ばれなかった人間』について。

主人公である朱点一真は、紛れもなく天才です。並みいる強者を薙ぎ倒し、それまでの彼等の自信を粉々に打ち砕きます。

敗北を経験した相手はそこから血の滲む努力をして彼に再び挑みますが、それでも勝つことはできません。

観戦しているキャラクターは、「これが天才と凡人の差だ。」ということをまざまざと見せつけられるのです。

これはどこにでもある、けれどこれ以上ない現実だと思います。

もう1つは、『スポーツに対する世間の関心の低さ』です。

柔道は日本発祥ということもあって、比較的メジャーなスポーツです。

それでも、作中では地区予選大会の会場はガラガラだったり、主人公が自分の通っている学校に立ち上げた道場にも学生は訪れません。

オリンピックやサッカーのワールドカップといった世界的なイベントでもなければ、大抵の人達はスポーツに興味すら抱かないのが現実です。

作品自体は柔道が題材ですが、それ以外の部分は柔道だけに収まらない人間の心情やスポーツの実情が描かれていることも多く、柔道を全く知らない方も読みやすいと思います。

作品に感じた魅力

ここからは、読んでみて感じたこの作品の魅力についてお話していきます。

主人公の掴みどころのないキャラクター性

主人公の朱点一真は、とにかく異端児です。

恐るべき実力を持ちながら、講英館が掲げる理念や伝統を下らないと一蹴し、「あなた方に認めてもらう必要はない」と帯も白色のままです。

財閥の御曹司であることも手伝って、やることなすことが全て周囲の人間に予測がつかないことばかり。

しかし、強く信念を持った柔道家にはしっかりと敬意を払い約束も守るなど、決していい加減でおちゃらけただけの人物ではありません。

現実世界にはこんな存在はいないでしょうし、いたとしても世間に袋叩きにされるのがオチですが、だからこそ「自分もこんな風になれたら…」と思う読者もいるのではないでしょうか。

各キャラクターの柔道に懸ける想いの描写

主人公に戦いを挑む相手は、いずれも輝かしい実績を持っています。

中にはそれにあぐらをかいて大きな態度を取ったり、不真面目で練習していない選手もいます。

しかし、主人公に敗北したことでこれまでの自分を省みて「今度こそヤツを倒す…!」と全てを投げ打ち、死にもの狂いで練習を重ねるように。

そこには柔道を始めたばかりの時の気持ちや、なぜ柔道をしているのかと思い返すシーンがあって、それぞれにドラマがあることが分かります。

どんなアスリートにも初心者の時代があって、血の滲む努力をした経験があって、今がある。

柔道に限らずスポーツに本気で取り組んだことのある方であれば、つい感情移入してしまうと思います。

館長の外道かつ狡猾な策略の数々

作品に登場する主人公が宣戦布告した講英館の館長・大嶽明徳は柔道界の長です。

大嶽明徳は自身の独裁体制のもと、好き勝手に振る舞い甘い汁を吸いまくっている、まさに分かりやすい悪役です。

主人公に対して表向きは正々堂々と戦う姿勢を見せながら、ゴロツキを仕向けて問題を起こさせようとしたり、柔道家の重鎮を利用して評判を貶めようとするなど、卑劣という他ない手段を用いてきます。

成り上がって権力を得た人間が、既得権益を守るためにあらゆる手を使う。

これは今の世の中にも間違いなく存在する人種ではないでしょうか。

主人公はそれに屈することも臆することもなく対処していくので痛快ですが、自分が将来どんなに偉い立場になったとしても、絶対にこうなってはならないという反面教師の鑑として学ぶことができます。

まとめ

この作品は既に完結しており、全5巻となっているのでその気になれば1日で読みきれます。

漫画ならではのご都合主義や、現実では有り得ない展開も多くあるため、賛否の別れる作品だとは思いますが僕は楽しく読めました。

格闘技漫画には主に、

①本格的にその格闘技の戦いを中心に描いているタイプ
②格闘技を題材にしているものの、キャラクター同士のやり取り(恋愛やギャグなど含む)やストーリーに主軸を置いているタイプ

の2タイプがありますが、この作品はそこをちょうど良いバランスで描いています。ています。

作中に登場する柔道技の解説等は入らないため、気になる場合は自分で調べる必要がありますが、知らなくても読み進められるので問題ありません。

興味を持った方はぜひ読んでみることをおすすめします。

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