格闘技をやっていると強いというイメージがつくのは当然のことかと思いますが、「相手がナイフを持っていたらどうすればいいの?」と質問されることがあります。
日本ではナイフはごく普通に販売されていて一般人でも難なく購入できるので、ナイフを持った相手に襲われるというシチュエーションは十分有り得るというのが、この質問の背景にあるのではないかと感じます。
では実際のところ、格闘技経験者がそのようなシチュエーションに見舞われた際、どのように対処するのか?
格闘技歴10年以上の僕が、自身の経験と考察を含めお話していきます。
迷わず逃げる
いきなり情けないと思われるかもしれませんが、結論から言えば逃げれるのであれば迷わず逃げます(笑)
理由は簡単で、戦うにはあまりにもリスクが大きすぎるからです。
まず、格闘技では基本的に武器を持った相手と戦う練習なんてしていません。なぜならルール上認められていないからです。
ルールで禁止されていることをわざわざ練習する必要がないので練習していませんし、していない以上どのように戦うべきかの心得もありません。
また、ナイフによる攻撃は1発で致命傷になりうるものです。
確かに格闘技経験者の打撃も凶器に近いものはありますが、ナイフを不規則に振り回されたり無我夢中で突き刺しに来られたら打撃もどこまで出せるかは未知数です。
ナイフという絶対的な凶器を目の前にした時に、どのような心理状態となるかが分からないからです。
戦うことは確かにカッコいいですが、命を失うリスクと隣り合わせということを忘れてはいけません。
なので確実に助かるには、逃げるに越したことはないのです。
戦わなければならない時はどうするか
しかし、状況によっては逃げられないこともあるかもしれません。
例えば後ろが行き止まりだったり、家族や恋人が一緒にいる時など、戦う他ないことも有り得ます。
そのような場合は、まず何か武器や防御に使えるものがないか考えます。格闘技をやっているからと言って、素手でナイフを持った相手に立ち向かうのは無謀だからです。
例えばナイフよりリーチの長い武器があればそれを使いますし、カバンやリュックサックがあれば防御代わりに使いつつ、何とかナイフをはたき落とすか使用不能にさせることを考えます。
ナイフを使えなくさせ、可能であれば逃げますしやはり難しいようであればあらゆる方法で相手を無力化させるしかありません。
もうお気付きかと思いますが、基本的に念頭にあるのは「いかにして逃げるか」であって「いかにして相手を倒すか」ではありません。
『生き残ること』が大切
格闘技では相手を倒すことが勝利条件であるため、逃げるという選択肢はありません。
しかし、町中で襲われた場合は相手を倒すことではなくいかにして無事に助かるか、つまり生き残るかが焦点であり、いわばこれが勝利条件となります。
多くの人は襲われたら相手を倒すことを前提に置きがちですが、人間を倒すのは想像以上に難しく、ましてやナイフを持った相手をどうにかするなんて難易度が高すぎます。
それよりも、どのようにして逃げるか、相手から離れて安全を確保するかを考えた方がよほど合理的でリスクが低いです。
ドラマや映画を観ていると勘違いしがちですが、ナイフを持っているような危険人物の対処にあたるのは警察の仕事であり、そうではない一般人は自分の身を護ることを第一優先にするべきです。
格闘技をやっておいて損はない
この話をすると「じゃあ格闘技って何のためにあるの?」と言われることがありますが、格闘技で培われた身体能力で逃げ切れる可能性は高まりますし、戦わなければいけない場合も何もしていないよりは生き残れる確率は高いです。
確かに格闘技をやっているからといってナイフに勝つのは難しいですが、それでも決して役に立たないものではありません。
いざという時、少しでも自分が助かる確率を上げるためにやれることはやっておく。その手段の1つが格闘技だと思います。
身に付けておいて損はないことだけは自信を持ってお伝えしておきたいと思います。
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