僕は格闘技が好きで、これまで10年以上やってきました。
しかし、世の中には格闘技に対して「暴力的だ」とか「野蛮で下品」と批判し、毛嫌いしている人も少なからずいらっしゃいます。
確かに格闘技ではリングの上にいる2人が互いに殴り合って、血と汗が飛び交うシーンばかり。
これを見て気持ちよく思えない人がいるのは当然だと思うので、その点についてどうこう言うつもりは一切ありません。
しかし、格闘技と暴力は似ているようで全くの別物であるということは、格闘技を嫌いな人にも理解しておいてほしいところです。
この記事は、以下のような
疑問を持っている方の役に立てるように書きました。
これを書いている僕は、
・格闘技歴10年以上
・アマチュア選手としてキックボクシングなどの試合へ出場経験あり
・ボクシングのプロライセンス取得を目指し現役で練習中
の身なので、参考にしていただければ何よりです。
『格闘技』はスポーツ、『暴力』は犯罪
まず大前提として、格闘技はあくまでスポーツの1つということです。
リング上ではただひたすら殴り合っているように見えますが、それは多くのルールのもとに行っており、違反すればレフェリーが止めて悪質と判断された場合は反則負けも有り得ます。
また、戦う前には健康状態に問題がないか(試合が可能なのか)ドクターチェックが行われ、問題ありと判断されるとドクターストップで中止となることもあります。
表には出ない様々な契約や合意の上で、たくさんの人の協力があって初めて試合が成り立つので、「あいつがムカつくから」などという個人的な理由で戦うことはありません。
これに対して暴力は、極めて個人的な理由のもとで他者に振るわれる行為です。
それこそ「ムカついた」とか「腹が立った」などで何の契約も同意もなくいきなり行われるので、立派な犯罪です。
よく不良が喧嘩自慢をしていることがありますが、あれは典型的な暴力に他ならず、本来自慢できることではなく恥ずかしいものでしかありません。
格闘技を外で使えば『暴力』になる
先程お話した通り、格闘技は契約と同意の上で行われるスポーツです。
言い換えれば、それらがあってこそ合法的にできるものなので、格闘技をそれ以外で使用すれば暴力になります。
よくネット上で「格闘家は喧嘩も強いのか?」なんて議論がされますが、そもそも格闘家が喧嘩すること自体いけないことです。
むしろ格闘家が喧嘩で暴力を振るったとなれば、格闘技をやっていない人以上に注目を集めてしまい大問題に発展するでしょう。
正直なところ、昔は一部の格闘家が喧嘩をしていたこともあったようですが、SNSが普及した今そんなことをすれば即座に誰かに撮られ拡散され発覚すると思います。
だから、格闘家は決して格闘技以外でその技術は使えないし使ってはいけないのです。
格闘技は突き詰めれば暴力になりうるからこそ一線が大事
ここまで格闘技と暴力の違いについてお話してきましたが、とはいえ人によってはいくらルールなどがあるといってもやはり『格闘技は暴力』という印象は拭えないかもしれません。
どれだけ言葉を並べたところで、格闘技は相手を破壊する技術であることに間違いはないので、突き詰めれば暴力と大差はないのです。
特に最近はYoutubeでプロの格闘家が喧嘩自慢の不良にスパーリングを挑みボコボコにする動画が数多くあって、そういうところからも「格闘技ってそんなことのために使っていいの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
僕はプロとして第一線で活躍しているような格闘家ではありませんが、格闘技を身に付けている以上は格闘技以外の場面ではこの技術は使わないことを誓っています。
自分が襲われて命が懸かっているような状況ならまだしも、そうでない利己的なことに使うべきものではないと思っているからです。
格闘技という技術は、暴力と紙一重の位置にあることを忘れずにいなければいけません。
格闘技は危険な側面もありますが、本来はやり方次第で誰もが楽しめるスポーツです。
できれば少しでも多くの方々にそれを理解してもらえて、やる人が増えたら嬉しいなといち格闘家の端くれとして思うばかりです。
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